大切な撮影データでも簡単・確実にコピーできるうえ、
外付けハードディスクよりも輸送の取り扱いがラク。
コストもストレスも少なくデータの受け渡しができました。
これからを見据えると、LTOの経験値をあげることが必要。
その優れた利便性とともに、弱さも語られることが多いハードディスクドライブ(以下、HDD)。特に放送映像業界では、手軽さや速さから重宝されていますが、輸送時のデータ損失や長期保存に向かない点が問題視されるようになっています。そのような状況の中、HDDだけではなくLTOを併用してみるという試みが行われました。その経緯を語るのは株式会社IMAGICAの金丸氏。
「ウチのチームは撮影部署なんですが、どんな撮影データも絶対2箇所、マスタ用とバックアップ用のHDDにコピーして、その一方を編集の方へ渡していました。撮影データが増えればHDDが2台増え、当然コストも2倍になりますが、万が一のことを考えると必要なんですよね。とは言っても、バックアップ用のHDDなんて、保管しても3年後に使えるのかっていう問題もありますよね。だから、そのまま長期保存していくということを考えると、以前からバックアップ用のHDDはLTOに変えたいなと思っていたんです。ただ、転送スピードとデータ容量がギリギリ足りないので、本格的にLTOを導入するのは見送っていました。そんな折、海外で1ヶ月超、それに続いて国内で1ヶ月かかる映画の撮影が入ったんです。長期ロケだと小刻みに編集サイドへ大容量データを送ってあげる必要があり、その際に航空便を使用するとなると輸送等々でリスクがあるHDDよりもLTOの方が安全。また今後、進化したLTOを使用することになるなら前もって経験を積んでおく方がいい、ということで今回はバックアップ用のHDDをLTOに変えてデータの受け渡しをやってみようという話になったんです」
数々の撮影機材が保管されているスタジオ。ここで必要な機材を揃えてロケに出発します。
HDDとLTOを併用することで、コストを低減。
いろいろな面で気持ち的にラクになりました。
今回の海外ロケで使用した機材一式。
今回DIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)として参加された前嶋氏は、現場でのLTOの使用方法について次のように話してくれました。「今回の映画撮影は、フィリピンで1ヶ月ちょっと。その途中途中でポスプロに撮影データを送るとなると、それなりにHDDの台数が必要になります。
しかも今回の撮影チームはカメラのカードを次々と替えて撮っていくタイプだったので、より多くHDDを用意する必要がありました。それでいつものまま準備していたら、HDDだけで重さもコストもすごいことになっていましたね。でも今回はバックアップ用のHDDの代わりに大容量でも小さくて軽く、低コストのLTOを使用できたので、ずいぶん上手くやり繰りできました。作業的には、撮影現場でメモリカードから数台のHDDにコピーして、ホテルに帰ってからそれらをまとめてLTOに移し、ある程度の段階で会社に空輸するという流れです。LTOにデータを移すのは、夜寝ている間にコピー&ベリファイをかけておいて、朝起きて簡単にチェックするだけ。カートリッジの輸送も空輸なら1〜2日で着きますし、HDDのようにデータが消えたり破損したり失くなってしまう等の心配もなく、安心して利用できました。あとこれは海外特有なのかもしれませんが、HDDをたくさん持ち込むと税関とかで厳しくチェックを受けることがあるんですよ、売るのか?とか言われて。その点、LTOとか磁気テープに関しては特に聞かれることもなかったので、HDDより気持ち的にラクでしたね」
LTOは軽くて、コンパクト。
女性でも簡単に扱えるのがいいですね。
一方、国内の撮影でDM(データマネージャー)として現地に滞在していた高橋氏は「REDのDRAGONとEPICという2つのカメラで撮影していたのですが、1日のデータ量が大体200GB、多くて400GBくらいだったので、それを3日とか4日おきぐらいでポスプロとやり取りするという感じでした。基本的には宅配便でこれまでのHDDと同様、ジュラルミンケースやペリカンケースに入れて送るようにしましたが、何よりもその軽さやコンパクトさが良かったです。梱包するのもラクだったし、たまに手持ちすることもあったので。ひとつだけ気になったのは、作動音が少し大きいことですかね。ちょうど隣の部屋が録音部さんだったこともあったので、できるだけ作業時間をずらして日中に行うようにしました。でも静音設計の新しいLTOドライブがあるとのことなので、そのあたりは期待したいですね」とコメントをいただきました。映画業界ではまだ浸透しきれていないLTOですが、欠かせない存在になる日は、そう遠くなさそうです。
「女性の私が操作しても、テープにデータコピーするのは何の問題もなかったですね」と高橋氏。
今回の導入製品
USB3.0対応 LTOテープ装置
LT60 USB
- LTO-6の場合1巻あたり2.5TB(非圧縮時)、6.25TB(2.5:1圧縮時)
- 最大140MB/Sec(非圧縮時)の高速アクセス
- USBのプラグアンドプレイ機能により、複数システムでの共有が可能
- Linux/Windows/Mac OSをサポート
プラットフォームを超えたデータ交換にも利用が可能
LTFS機能
(Linear Tape File System)
- ディスク上のファイルと同様の容易なデータ・アクセスと管理をLTOテープ上で実現
- ドラッグ&ドロップなどの、一般的なファイル/フォルダ操作で簡単にLTOテープの読み書きが可能
- 異なるOS間でのファイル・データの共有が可能
- 放送・映像業界、監視カメラ業界、医療業界で大容量データを扱う
- Windows/Linux/MacOSと複数システムが社内・部署内に存在している
- 大容量データを他社と共有して作業を進める
- 映像資産のアーカイブ先を検討中
- 映像関連のポストプロダクション作業の受け渡しを行っている
- CAD/CAMデザインの保管・受け渡しを検討中
- 医療分野での画像処理・カルテ等の整理・一元管理を検討中
※ 記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。記載の内容は2016年2月現在のものです。本カタログに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。