ノンリニア編集の素材をそのまま保存が可能。
これまで撮りためた映像データを省スペース・省コストで
保管できるようになりました。
映像制作の現場では、テープは増え続けて当たり前
「4Kや8Kといった高解像度カメラが登場した現在でも、まだまだテレビ番組の取材やロケなどではビデオテープに収録する形態が多いのです」そう語るのは、日本経済新聞社直系の映像プロダクションである株式会社日経映像の制作本部主席プロデューサー・ディレクターの本多活起氏。
「たとえば30分の全編取材番組を制作するのに40分のHDカムビデオテープが10本~20本、60分のドキュメンタリー番組ならHDV60分テープが100本近く必要になります。それらの素材テープは、放送後にすぐ廃棄されたり記録内容を消去して次の撮影に利用されたりすることは稀で、そのまま保存するケースがほとんど。というのも、レギュラー番組では、過去の取材テープが必要になることが多いほか、単発の特別番組でも、将来、続編を制作することになったとき、過去の素材が必要になります。さらに、国内外の都市の風景や自然の映像などは、他の番組でも必要になることが多々あるからです。ほかに、番組担当者としては苦労して撮影した映像を、そう簡単には消したくないという思い入れもあるのでしょう」そのため日経映像様では、年に2回の産業廃棄物回収時に保存の必要がないと判断されたテープを処分するようにしていますが、いつまでも捨てられずにいるテープも少なくないそうです。映像を保存するための会社の地下室だけではスペースが足りず、オフィス内のロッカー上などにも山積みの状況に。そこで社内にある映像データをもっとコンパクトに、効率よくアーカイブする方法を検討し始めたところ、 LTOテープに白羽の矢が立ったのです。
専任のオペレータなどに依頼することなく、誰でも簡単に操作できる点がいいです。
テープ保存からHDD保存、そしてまたテープに保存する時代へ
「2000年以降は、コンピュータ技術の進歩によって映像編集の主役がテープからデータへと急速に移行しました。制作本部では、ハイビジョン映像信号をほとんど劣化させることなく高効率に圧縮する『ProRes形式』を使ったシステムを採用。その作業工程は、ビデオテープの映像を専用の圧縮装置を使ってProRes形式にデータ化し、3TB程度の外付けHDDに保存。この“デジタイズ”されたデータを使って番組ディレクターがパソコンを使ってノンリニア編集し、その後ポストプロダクションで放送用ビデオテープに書き出してテロップなどの加工が施されて番組が完成するのです」
このようなワークフローが確立した2010年頃から、ビデオテープではなく編集で使用したHDDをそのまま保存することに。こうすれば取材テープを保存する必要はなくなります。ビデオテープに比べ、映像のデータ保存に必要なコストは約10分の1、スペースは約30分の1にまで削減できることになります。しかし、決定的な懸念事項がありました。
「ハードディスクは電気製品なので、故障の可能性があります。そのうえ、ハードディスクメーカーは寿命を公表していないので、大切な映像データを長期保存するということを考えると、どうしても不安をぬぐい去ることができませんでした。そんな理由もあって、ビデオテープの再利用や廃棄は思うように進みませんでした。そこでいろいろと検討した結果、HDDに匹敵する容量をもち、HDDをはるかに凌ぐコンパクトサイズ、さらに寿命も30年と公表されているLTOテープに映像データの保存を行うことにしたのです」
HDDと同様の使い勝手でありながら、
シンプルかつ安価なシステム構成が魅力のLT50 USB
日経映像様では、LT50USBとMacBook Pro13インチをUSB3.0で接続して、LTOテープのアーカイブシステムを構成。外付けHDD内に保存されたデジタイズ済みのデータをLTOテープにコピーする際は、MacBook Proに同時に接続してLTFSソフトを立ち上げ、MacBook ProにマウントされたLTOのフォルダにHDDのデータをドラッグ&ドロップするだけというシンプルな操作を実現した点も採用のポイントになりました。
「LTOテープへのアーカイブを検討し始めてから各メーカのシステムを比較しましたが、そのほとんどがLTOドライブ装置、専用のパソコン、アーカイブソフトなどから構成されており、高額なものばかり。さらに、映像をビデオテープから改めてデジタイズしなければならないため、時間も人員も必要になる。そうしたなかで、手持ちのノートPCを利用し、ノンリニア編集のためにすでにデジタイズした映像データをそのままの形式でLTOテープに保存でき、加えて番組の台本や静止画CGなど、あらゆる形式のデータもまとめて保存できるという『LT50USB』を見つけたんです。映像アーカイブのために人も時間も費用もかけられない現状で、いかに効率よく映像データを保存していくかを考えると、これ以上ないほどシンプルなシステムができたと思います」
保存するか否かの判断、スペース、
コスト、これまで抱えていた問題のすべてを解決してくれた救世主
「LT50USBを導入し、LTOテープでアーカイブすることによってコストはHDDに保存する場合に比べ2分の1、スペースも約2分の1に。ビデオテープならば、みかん箱1箱分くらいのスペースが必要だったものが、手のひらに乗るくらいのLTOテープに収まるようになったのです。その結果、この先、映像素材がオフィスに溢れ続けるという事態から解放されました。そして従来、保存スペースの限界を考えると捨てなければならないのに、もしかしたら将来、使う可能性もあるのではないかなどと、保存するか否か、迷うケースも多々ありましたが、迷ったらとりあえずLTOテープに保存しておき、後日、改めて検討して、不要なデータは消去し、LTOテープは再利用すればよい、と思えるのは、精神的にもメリットがありますね。LTOテープによる映像アーカイブシステムは、映像素材の保存に悩む制作会社にとって、救世主のような存在といえるかもしれません」
これまでビデオテープが詰め込まれた段ボール箱がいたるところに山積みになっていましたが、コンパクトなLTOテープでラック内にスッキリと整理できています。
今回の導入製品
USB3.0対応 LTOテープ装置
LT50 USB
- LTO-5の場合1巻あたり1.5TB(非圧縮時)、3.0TB(2:1圧縮時)
- LTO-5の場合最大140MB/Sec(非圧縮時)の高速アクセス
- AES256ビットハードウェア・データ暗号化機能を装備
- USBのプラグアンドプレイ機能により、接続を切り替えて、サーバノートPC間など複数システムでの共有が可能
- Linux/Windows/Mac OSをサポート。プラットフォームを超えたデータ交換にも利用が可能
LTFS機能
(Linear Tape File System)
- ディスク上のファイルと同様の容易なデータ・アクセスと管理をLTOテープ上で実現
- ドラッグ&ドロップなどの、一般的なファイル/フォルダ操作で簡単にLTOテープの読み書きが可能
- 異なるOS間でのファイル・データの共有が可能
- Windows/Linux/MacOSと複数システムが社内・部署内に存在している
- 大容量のデータを他社と共有して作業を進める
- 映像資産のアーカイブ先を検討中
- 映像関連のポストプロダクション作業の受渡しを行っている
- CAD/CAMデザインの保管・受渡しを検討中
- 医療分野での画像処理・カルテ等の整理・一元管理を検討中
※ 記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。記載の内容は2015年3月現在のものです。本カタログに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。