従来のサーバ仕様と比べて、機能面はそのまま。
しかし、ポータビリティ性や接続性といった使い勝手の面は、
格段に向上したLTOアーカイブ・システムが完成しました。
堅実なニーズをもつアーカイブ
これまで放送業界を主として、映像のほとんどがVTRテープで蓄積されてきました。しかしながら、恐らく10年以内にはVTRテープを使用して制作・再生する機材のメンテナンスもできなくなってしまう、と言われています。このような状況は、歴史的に貴重な映像資産がゴミになってしまうということを意味します。
さらにこの他にも、震災など現地で取材した映像を輸送するときに、従来のVTRテープではなくデジタルテープで行うという動きも出始めています。パナソニック様ではこのような時代背景やニーズに応えるために、2009年頃からLTOテープをベースとしたアーカイブ・ビジネスに取り組むようになったといいます。
場所を選ばず臨機応変に活用
可能なLTOアーカイブを求めて
本来、LTOアーカイブ・システムのストレージに使用するLTOテープ装置は、SASインタフェース接続のサーバ向けに開発されたもので、ユーザ・インタフェースによるバックアップ・アプリケーションには適していませんでした。そこで、パナソニック様ではワークステーションでも使えるようにITメーカーとパッケージを共同開発しシステムアップするなど、放送業界の制作プロダクションを中心に、さまざまなニーズに応えてきました。
ところが「もっとコンパクトなシステムを要望されているお客様がたくさんいるという現実に直面したのです。例えばノンリニア編集ソフトウェアのようにノートPCでも操作できるアプリケーションはたくさん存在します。そうなると映像のバックアップやアーカイブに関しても、持ち運び可能なポータビリティ性に富んだシステムが望まれるようになったというわけです。またシューティングした映像のアーカイブでは作業場所を変更したいという要望もでてきました」と瀬口氏。つまりサーバやワークステーションを持ち運ぶ場合は、場所や電源環境などが制限されてしまいます。そこで、同社のノートPCである『Let's
note』をなんとか活用できないか検討してきたのです。
顧客の評価も上々
瀬口氏が、USBで簡単にノートPC『Let's
note』と接続できるポータビリティ性に富んだLTOソリューションをインターネット等でリサーチし続けて「やっと、願っていた通りの装置にたどり着いた!」とユニテックスの『LT50 USB』を見つけたのが、2012年末。すぐに『LT50
USB』を取り寄せ、性能や耐久検証に着手しました。「私がもっとも危惧していたのは速度です。幸い、100~120Mバイト/秒を達成し、ノートPCであってもサーバやワークステーションなどとそれほど大きな差は出なかったので“満足できる性能”という結論に達した」とのこと。また、大きなデータを大量に流すというエージングに関しても問題はなく、トータルで2~3週間かけて行われた検証が終了。どれも満足いく成果が得られ、パナソニック様の顧客に向けたプロモーションが展開されました。
「顧客の評価も上々で、すでに一般企業でのアーカイブのニーズに応えるべく、導入が決まったところもあります。実はいま、放送業界の制作プロダクションだけでなく、企業でもセミナや商品の映像をアーカイブするニーズが高まりつつあるんです。こうしたお客様は、テープに残したり、ハードディスクに残したりします。気をつけなければいけないのは、ハードディスクに貯めたままで放置しておくと、せっかくのデータが1年もたないケースもあるんですね。というのも、ハードディスクはアーカイブメディアではないため、保存していたデータが必要になったときに肝心のハードディスクが動作しなければ使えなくなってしまうからです。ハードディスクの他に光メディアの利用も考えられますが、転送速度が遅いというデメリットがあります。そのため、LTOテープが現時点において最適なアーカイブメディアだと考えています」
今後へ向けた期待
世界中で注目されているLTOテープの活用範囲が、USB3.0接続により一気に拡大。これからのアーカイブ・ソリューションに、自由と革新をもたらすシステムだと言えますね。
「今回『LT50 USB』を採用してみて思ったのは、例えばオプションでも良いので、そこにあるドライブだけで簡単にLTO to
LTOダビングができるようなちょっとした機能が加わると、作業現場での便宜性も向上するのでは」との意見も。もちろん、現状でも専用ソフトウェアを使うPCを介在すればダビングは可能ですが、今後のバージョンアップに向けた一工夫を期待されていました。
また、LTO規格そのものに関しても「LTO6は、早めに投入した方が良い気がします。特にいまLTO4で運用しているお客様はLTO6に期待するし、LTO5で運用する場合はLTO7というふうに、現状よりもひとつとばしのバージョンアップを希望する傾向があるようです。やはり最新バージョンを必要とするお客様のニーズに応えることは大切ですからね」と提言。実は、ユニテックスはLTO6に関して技術面でクリアするなど、すでに次世代に向けた準備を進めています。
海外へのさらなる普及をめざして
いまパナソニック様では、日本国内でお客様にご提供している映像アーカイブ・システムを、海外ユーザにも展開できないか検討しているようです。というのも、パソコンやIT関係のトラブルが発生した場合、海外では迅速なサポートが行えないからです。
「当社のノートPC『Let’s note』と『LT50
USB』をUSB3.0で接続するという形態にすれば、海外のお客様のITトラブルは格段に減るはずなんです。そしてその結果、日本のシステムを導入することに対する敷居が低くなるのではないかと期待しています」と、今後の展望について語っていただきました。
どんなニーズにどう応えるか。
先駆者のパナソニック様からアドバイス
このたびのパナソニック様のLTOアーカイブ・システムにユニテックスの『LT50USB』が採用されたメリットは、機能面では速度やエージングでも
従来のサーバ仕様LTOアーカイブと比較しても遜色ないこと、使い勝手の面ではノートPC『Let’s note』によるポータビリティ性、またサーバのSAS接続と比較してUSB3.0による
容易な接続性などが挙げられます。
「映像データ資産の蓄積を今後引き継いでアーカイブしていくことを目指すお客様は、映像コンテンツ自体を管理されたいのであって、決して大きなストレージをお持ちになりたいわけではないはずです。そのようなことよりも、むしろこれまでのビデオテープと同じような感覚で慣れ親しんだ管理を希望されるはずです。今回のシステムは、まさにそのようなニーズにもっともマッチするソリューションだと言えますね」と、自信に満ちた表情で語っていただきました。
今回の導入製品
USB3.0対応 LTOテープ装置
LT50 USB
- LTO-5の場合1巻あたり1.5TB(非圧縮時)、3.0TB(2:1圧縮時)
- LTO-5の場合最大140MB/Sec(非圧縮時)の高速アクセス
- AES256ビットハードウェア・データ暗号化機能を装備
- USBのプラグアンドプレイ機能により、接続を切り替えて、サーバノートPC間など複数システムでの共有が可能
- Linux/Windows/Mac OSをサポート。プラットフォームを超えたデータ交換にも利用が可能
LTFS機能
(Linear Tape File System)
- ディスク上のファイルと同様の容易なデータ・アクセスと管理をLTOテープ上で実現
- ドラッグ&ドロップなどの、一般的なファイル/フォルダ操作で簡単にLTOテープの読み書きが可能
- 異なるOS間でのファイル・データの共有が可能
- Windows/Linux/MacOSと複数システムが社内・部署内に存在している
- 大容量のデータを他社と共有して作業を進める
- 映像資産のアーカイブ先を検討中
- 映像関連のポストプロダクション作業の受渡しを行っている
- CAD/CAMデザインの保管・受渡しを検討中
- 医療分野での画像処理・カルテ等の整理・一元管理を検討中
※ 記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。記載の内容は2013年8月現在のものです。本カタログに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。