Load
テープメディア(テープカートリッジ)をテープドライブへ挿入し、テープメディアから磁気テープをテープドライブ内へ巻き取り、磁気テープへ書き込みもしくは読み出しができるようにする一連の動作をさす。
Positioning
磁気テープ上の読み出し開始位置、または、書き込み開始位置を磁気ヘッドに合わせて移動させる(頭出しする)動作をさす。
Write
テープメディア(テープカートリッジ)へ情報(データ)を記録(書き込み)する動作をさす。
Read
テープメディア(テープカートリッジ)へ記録されている情報(データ)を読み出す動作をさす。
Rewind
テープドライブ内へ磁気テープを巻き取る動作とは逆方向に磁気テープを移動する(巻き戻す)動作をさす。
Unlaod
テープドライブへLoadされた磁気テープをテープメディア(テープカートリッジ)へ巻き戻し、テープメディア(テープカートリッジ)をテープドライブから取り出す一連の動作をさす。
スロット
テープライブラリ装置において、テープカートリッジを収納する棚。
ロボットハンド
テープライブラリ装置において、テープカートリッジをスロットからテープドライブに搬送するためのロボットのテープカートリッジを掴む部分。
I/Eポート
テープライブラリ装置において、スロットの一部を用いて運用中にテープカートリッジを出し入れするものです。I/O(Inport/Output)ポート、メールスロットと定義されることもある。
接続インターフェース
バックアップサーバーとテープドライブを接続するインターフェース。FCインターフェースとSASインターフェースの2種類が存在する。
FC
Fibre
Channelインターフェースの略語。サーバーと磁気テープドライブとの接続形態の1つ。SFPと呼ばれる光トランシーバ・レシーバからデータ送受信が行われ、データはFCケーブルと呼ばれる光ファイバーによる通信を行い磁気テープドライブにロードされた磁気テープメディアのデータの読み書きを実施する。システム規模によりサーバーと磁気テープドライブの間にFCスイッチを組み込み柔軟なシステムを構成する場合もある。速度はFC
8G/16G/32Gbps等がある。磁気テープドライブではFC 8G/16Gbpsが主流。
SAS
Serial Attached
SCSIインターフェースの略語。サーバーと磁気テープドライブとの接続形態の1つ。データはSASケーブルと呼ばれる電線ケーブルによる通信を行い磁気テープドライブにロードされた磁気テープメディアのデータの読み書きを実施する。速度はSAS
6G/12G/24Gbps等がある。磁気テープドライブではSAS 6G/12Gbpsが主流。
テープ操作用のコマンド(例:tar、mt)
Linux/UNIXで古くから磁気テープドライブに対してデータを読み書きするときに使用していたOSコマンド。OSに認識されるテープドライブのデバイス名を指定してOSのファイルシステム上のファイルを磁気テープドライブにロードされた磁気テープメディアにデータを読み書き、磁気テープドライブの制御をすることができる。最近ではバックアップソフトやLTFS
(Linear Tape File System)を使うことが多いため利用頻度が低いが、OSコマンドで簡便に実装できるため、用途によっては今も用いられている。
磁気ヘッドとヘッド素子
磁気ヘッドは、テープ上にプリフォーマットされたサーボ情報を読み出すサーボヘッド、データをテープ上に書き込むヘッド(ライトヘッド)、データをテープから読み出すヘッド(リードヘッド)を一体化したテープドライブの基幹部品である。
ライトヘッド、リードヘッドは、各々書き込みヘッド素子と読み出しヘッド素子を複数搭載している。
書き込みヘッド素子はデータをテープに書き込むために磁界を生成する。読み出しヘッド素子はデータをテープ上からデータを読み出すために磁気情報を読みとる。現在のテープドライブでは、読み出しヘッド素子は絶縁体を強磁性体で挟む構成のトンネル型磁気抵抗(TMR)素子が用いられている。
シーケンシャルアクセスとランダムアクセス
磁気テープメディアはテープの先頭から物理的に順序記録を行うため、シーケンシャルアクセスによる順序読み書きをすると磁気テープドライブのカタログ仕様通りの転送速度が出ることが多い。一方でランダムアクセスによるテープの順序記録に沿わずに読み書きをしようとするとテープを巻き取って物理的に指定したデータ位置に位置づけする必要が発生するため非常に転送速度が低くなる傾向がある。磁気テープを使用する場合はできるだけシーケンシャルアクセスになるように一括でデータの読み書きを実施すると意図した性能が出るためシステム実装時には注意が必要である。
暗号化機能
テープドライブ内に暗号・復号回路を内蔵し、テープメディア上に暗号化したデータを記録する機能。テープメディアの盗難にあっても記録データは暗号により保護される。ホストシステムで暗号化してからテープにデータを記録しても同等の効果があるが、(1)ホストのCPUパワーが必要
(2)テープドライブの圧縮機能の効果が低下(暗号化データは圧縮しにくいため)の2点においてテープドライブの暗号化機能に利点がある。
Read While WriteとRewrite
テープドライブがテープメディアにデータを記録する際に、書き込みヘッドの直後に設置された読み込みヘッドを用いて、書き込んだ直後に正常に読み取れることを確認する(Read While Write)機能。
ここで正常に読み出せないデータがあった場合、そのデータのみを改めて再書き込み(Rewrite)する。この時、続くデータと再書き込みデータを混在させて書き直すので、テープの走行を止めてパフォーマンスを大きく低下させることなく、再書き込みをすることができる。
パリティ
誤り検出、誤り訂正のために付与されたデータ。
現在のテープストレージでは、信頼性を高めるためにユーザデータにC1パリティとC2パリティの2種類のパリティを付与している。
エラー訂正機能:ECC
誤り訂正のために元のデジタルデータに付加される符号、もしくは誤りを訂正する技術。
現在のテープストレージでは、ECCによってデータ読み出し時に一部のデータにエラーがあってもデータを復元することができる。
サーボ技術
テープドライブはリール回転によるテープ走行中にデータの書き込みやデータの読み出しを実行する。走行中に発生するテープ上下動はデータを書き込み、あるいはデータを読み出しに影響を与える。サーボ技術はテープの上下動の影響を補正して高精度で磁気ヘッドをテープ上の所望の書き込み位置、読み出し位置に追従する制御技術である。
ファイルマーク
テープメディアには、データの他にファイルマークと呼ばれるテープ特有なマークが記録されている。
テープの始端(BOT)から最初のファイルマークまでに記録されたデータ、その後のファイルマークとファイルマークとの間に記録されたデータは、しばしばファイルと呼ばれる。ファイルマークは、通常のデータと区別するために、何か特別な記録方法を用いて記録され、その記録方法はそれぞれのテープ装置によって異なる。LTOではデータ圧縮ブロックに使われているコントロールシンボルのひとつとして記録され、記憶容量に対するオーバーヘッドは無視できるほど小さく設計されている。
パーティショニング
1本のテープカートリッジ(物理テープ)を複数の論理テープ(パーティションないしは区画)
に分割する技術で、各パーティションは、それぞれ独立したテープとして扱うことができる。LTOではLTO-5で初めて導入され、LTFSに応用された。LTO-6以降はパーティション数最大4つまでサポートされている。物理的には、パーティションを区切るためのガードバンドと呼ばれるエリアが必要となり、わずかではあるが容量をロスする。
データセット
LTOにおけるテープメディアに書き込まれるデータの最小単位。ホストから送られてくるデータ(レコード)
はそのサイズにかかわらず、一定のバイト数を持つデータセットと言う単位にまとめられた後にテープ上に書き込まれる。データセットには、データの他、誤り訂正符号、DSITと呼ばれるメタデータ等が付加され、書き込まれたデータの信頼性や利便性を担保している。データセットサイズはLTOの世代によって異なり、データのみの大きさでLTO1では約400Kバイト、LTO8では約5Mバイト、LTO9では約9.8Mバイトとなっている。
レコード
ホストレコード、またはブロックとも呼ばれる。ホストとテープドライブ間で転送するデータの単位。LTOでは1バイトから16Mバイトの可変長をサポートしており、その扱い方はSSC(SCSI Stream
Command)for Sequential Deviceのスペックにて定義されている。
タイミングベースサーボ
あらかじめテープメディア上に記録されたシェブロンパターンと呼ばれるカタカナの”ハ”の字が連続したようなパターンを、テープドライブに組み込まれたサーボヘッドによって読み取り、精確な位置を検出して高精度なトラッキング制御を行う仕組み。1990年代にIBM3570というデュアルリールのテープ装置で初めて採用され、それ以降LTOやIBMエンタープライズテープで使用されている。テープメディアの製造工程にて、サーボ
(トラック)ライターを用いて書き込まれる。
メディア最適化
メディア最適化はLTO-9に新たに実装された機能で、各LTO-9カートリッジの特性に合わせてデータの配置を最適化する手法。
新品のLTO-9カートリッジは、データの読み書きを実行する前に必ず1回の最適化を行う必要がある。所要時間は平均40分、最長でも2時間と言われている。テープメディアは温湿度とテンションの影響により、わずかであるが経時的にテープ幅
(トラック幅)が変化する。トラック密度が高くなるとそのわずかな変化量でも読み書きの性能に影響するので、カートリッジ毎に初期状態でのテープ幅をテープ全長にわたって測定し、その結果をカートリッジメモリーに保存して将来のテープ幅
(トラック幅)の変動に対応するためのテープテンションを決定する方式である。長期保存後に正しくデータを読み返すことを可能にする重要な技術である。
スピードマッチング
テープの走行速度(すなわち、データの書き込みや読み出し速度)
を調節し、ホストからのデータ転送速度に一致させることでデータのスループットを最大化させ、データ転送を効率よく行うための機能である。また、リポジションを減らすことにより、テープメディアの寿命を向上し、テープドライブの機械的な摩耗を軽減させる効果もある。
Repositioning(リポジショニング)
何らかの要因で読み書きの対象となる場所をテープヘッドが通り過ぎてしまい、モーターを逆回転させてテープメディアを巻き戻し、再始動して対象の場所にヘッドを再び到達させる動作。ホスト転送速度がテープドライブの読み書き速度よりも遅い場合、サーボ信号やデータ信号の品質に異常がある場合などに発生する。バックヒッチ、シューシャイニング、フットボール、パンタグラフなどの別名もある。
RAO(Recommended Access Order)
推奨アクセスオーダー(Recommended Access
Order)のことで、テープのアプリケーションが1本のテープから特定の数のファイルを高速に検索し、それらのファイル間のシーク時間を短縮することができる機能である。2011年に出荷されたIBMのエンタープライズ・テープドライブTS1140で初めて導入された。テープドライブでは、ユーザーデータセグメント
(User Data Segment: UDS)のリストを受け取り、それらのUDSの読み出しにかかる時間を最小にする推奨アクセス順序を割り出す。その推奨アクセス順序をRAOリストと呼ぶ。
UDSは、連続する論理オブジェクト(論理ブロックとファイル・マーク)のグループで定義され、パーティション番号、論理オブジェクト ID の先頭、および論理オブジェクト ID
の末尾を用いて記述される。LTOではLTO-9フルハイトで初めて導入され、最大2,730のUDSをサポートする。