LTOによる持ち込みデータへの対応や、プロジェクトデータのアーカイブに活用されています
*DCP : Digital Cinema Package (デジタルデータを用いた映画の上映方式)
導入の背景&システム概要
アジア映画のフィルムをはじめ、開館から20年以上にわたり数多くの映像を保存(アーカイブ)し続けている福岡市総合図書館様。特に地元九州エリアの映像は総収蔵数の5割強を占める約3000タイトルを数えるなど、唯一無二の映像をしっかりと保存している功績が認められ『FIAF (国際フィルムアーカイブ連盟) 』に国内唯一のローカルアーカイブとして加盟しています。そのような世界でも珍しい「アーカイブを有する図書館」では、最近当たり前になってきたデジタルデータで作られた映画の長期保存に使用するメディアとしてLTOの導入を検討。NECネッツエスアイ株式会社 放送映像システム事業部様からのご推薦により、専用のオペレータではなく職員の方でも 操作できる点、がっちりとシステムに組み込まずにドライブを単体で動かせる点、そしてコスト面でも他社より抑えられる点が評価され、弊社の『LT60 USB』を採用していただきました。現在も「LTOカートリッジ1本」を「1つの収蔵庫」として扱い、すぐに使用できるライブラリーと長期間保存できるアーカイブをしっかりと棲み分けながら省スペース、省コストな保存・管理が行われています。
導入企業
福岡市総合図書館
福岡県福岡市早良区百道浜3-7-1
URL http://toshokan.city.fukuoka.lg.jp/

事業内容
  • 本館
  • 分館
  • フィルムアーカイブ(シアター)
  • 文学館
  • 文書資料
  • 郷土資料
  • こどもとしょかん
  • 点字図書館
  • 九州国連寄託図書館 など
特色のある施設を併設し福岡のあらゆる資料を収集・公開しています。
写真1
映像管理員
映像資料課
松本 圭二氏
写真2
映像資料課長

八尋 義幸氏

DCPデータを、そのままLTOへ保存。
大がかりなシステムを組むこと無く、理想のアーカイブが行えるようになりました。

「アジア地域のフィルム保存が危ない」
この発言がきっかけで当図書館にアーカイブが生まれました。

図書館の中に映像アーカイブを設置する、という国内では例を見ないユニークな施設として1996年6月に誕生した福岡市総合図書館様。そのきっかけが一人の映画監督の言葉にあると映像資料課 映像管理員の松本圭二氏は語ります。
「いまから25年以上前の1991年、第一回アジアフォーカス・福岡国際映画祭が開催されました。そのシンポジウムでインドの女性監督から『アジアのフィルム保存は非常に危険な状態にある。高温多湿という悪条件な上にフィルムを文化財として保存する考えがないから、どんどん作品が失われている。今回を機にアジア映画保存の拠点を福岡に作って欲しい』という提言があったんです。これに賛同した当時の市長が、すでに計画中だった図書館に映像資料部門を新たに追加し、その5年後に開館しました。“アジア映画の保存”を目的にしているため福岡国際映画祭で上映した作品を収蔵していくことがメインの仕事なのですが、開館当時はデジタル化が進み続々とフィルムを廃棄する動きが出始めており、近隣のテレビ局を回ってとにかく全部集めていました。その本数は現在の全収蔵数の5割強にあたる約3000タイトル。そんなゴミみたいなの集めてどうするの?ってよく言われましたが実はこれが地域一点ものの映像、もうココにしかないモノなんです。郷土の資料映像をこれだけアーカイブしているところは国内でも珍しく、それが評価されFIAF(国際フィルムアーカイブ連盟)に加盟できました。日本で加盟しているのは東京国立近代美術館フィルムセンター(以後、フィルムセンター)と当館だけ。多くの人に貸し出して活用してもらうことを目的としたライブラリーが、とにかく長く保存することを目的としたアーカイブを有するという、真逆の性質を併せ持った非常に特殊な施設と言えるかもしれませんね」
マシンルーム
前々室、前室を経てしっかりと気温・湿度管理されている収蔵庫。使用する際は急激な環境変化を避けるため数日かけて外に出します。約6000タイトルを数えるフィルムの中には、地元出身の俳優さんから寄贈されたモノも。

もともとフィルムのアーキビストなので、
最近のHDDやディスクなどはまだ信用できない。
だからLTOというメディアを選択したのです。

「ここ数年の新しい作品はフィルムでは無く、ほぼ全てDCP(Digital Cinema Package)と言うデジタルデータの形でコンパクトハードディスクなどに収められて届きます。でもハードディスクって保存メディアとして何年持つのか?という疑念がどうしても出てくるので、マスターとなるDCPデータは長期保存可能なメディアにアーカイブしておきたい。それでLTOとディスクの両システムの提案を受けたんです。ただディスクは、図書館で映画を貸し出すときにVHS時代はあまり劣化がなかったのにDVDになったら何かの拍子でキズが入って入荷半年で使えなくなったなんて話もあり、いまいち信頼できませんでした。一方、欧米のアーカイブにメインで使われているというフィルムセンターの調査報告や、日本映画製作者連盟が共通規格として使用することを関係省庁に提案していたのに加え、映画の配給会社や近隣のテレビ局で既に使っているなど、信頼できる要素が多々あったのでLTOを選びました。もともとフィルムのアーキビストなので、ちゃんと何かに記録して刻み込みたいという意識が強いせいか、あの稼働音を聞くとしっかり仕事をしてくれていると思うんですよね」
デジタルデータ

LT60 USBが理想のシステムだと思うのは、
シンプルかつコンパクトな構成、低コスト、
そして自分たちで使いこなせる点です。

デジタルデータ
「数社からLTOのシステムを提案されましたが、作り込まれたデータ管理ソフトと大きくて複雑なPCが全部一体型になった高級な機材の他にオペレータの人を新たに雇ってとか、アーカイブ作業自体を外注にしてとか、結構ハードルが高いものがある中で『LT60 USB』はとてもシンプルな構成だったんです。しかもUSBでつないでドラッグ&ドロップすればLTOのデータを読み書きできるなど、自分たちでも操作できる機材だった。一回ラックとかに積み込んじゃうと一通りの使い方しかできなくなってしまうんですが、これだと必要に応じて色々な機材と組み合わせることができるんです。アーカイブの対象がどんな形であっても対応できるので、そのあたりの柔軟性は結構ありがたいです。機能性、操作性で満足な上に、圧倒的にコストを抑えられる。もうね、これ以上優れたシステムがあるなら、ぜひ聞いてみたいですね」と笑顔で語る松本氏。

不可能と思われたDCPの保存が可能に。
使うモノと保存するモノを棲み分けて
アジア映画をしっかりとアーカイブします。

「DCPデータというのは、コピーできないと言われてきました。数百万円する特殊なソフトならモニター上で見れたりするのですが、それ以外では認識もされない。しかしながらこのLT60だと“映像データ”ではなく“純粋なデジタルデータ”として保存ができることがわかりました。しかも保存したデータをハードディスクで取り出せば“映像データ”として復活できる。これはものすごく衝撃的な事実で、ここを訪れたアジアの映画監督がそのことを知ると進んでデータを寄贈してくれるようになりました。現状、各国の作品を1本のLTOに収め、カートリッジを収蔵庫として管理しています。短期保存は1年、中期は5年、長期は10年とも言われますが、僕らの長期保存に期限はありません。アジアで生まれた映像をできるだけ長く、できるだけ多く後世に残し伝えて行きたいと思います」と、これからの展望を力強く語っていただきました。アーカイブの本質を追究している福岡市総合図書館様を、ユニテックスは今後も強力にバックアップしていきたいと思います。
デジタルデータ
DCPで届いた数作品を各国ごとに1本のLTOカートリッジにまとめ、アーカイブしています。

今回の導入製品

USB3.0対応 LTOテープ装置

LT60 USB

LT50 USB

特徴

  • LTO-6の場合1巻あたり2.5TB(非圧縮時)、6.25TB(2.5:1圧縮時)
  • 最大6GbpsSAS:160MB/Sec、USB3.0:140MB/Sec(非圧縮時)の高速アクセス
  • USBのプラグアンドプレイ機能により、複数システムでの共有が可能
  • Linux/Windows/Mac OSをサポート
    プラットフォームを超えたデータ交換にも利用が可能

LTFS機能
(Linear Tape File System)

  • ディスク上のファイルと同様の容易なデータ・アクセスと管理をLTOテープ上で実現
  • ドラッグ&ドロップなどの、一般的なファイル/フォルダ操作で簡単にLTOテープの読み書きが可能
  • 異なるOS間でのファイル・データの共有が可能

このようなお客様へ

  • 放送・映像業界、監視カメラ業界、医療業界で大容量データを扱う
  • Windows/Linux/MacOSと複数システムが社内・部署内に存在している
  • 大容量データを他社と共有して作業を進める
  • 映像資産のアーカイブ先を検討中
  • 映像関連のポストプロダクション作業の受け渡しを行っている
  • CAD/CAMデザインの保管・受け渡しを検討中
  • 医療分野での画像処理・カルテ等の整理・一元管理を検討中
※ 記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。記載の内容は2017年7月現在のものです。本カタログに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。